少年からメールを頂きました。
2010年、我々LGDA(LEXUS GT DRIVERS ASSOCIATION)が企画したヘルメットカラーリングコンテストというものがありましてね。
発案から、企画、実行するのに色々な方々のご尽力を賜りながらも、大変な企画がありました。
このコンテストとは、レクサス、スーパーGTドライバーのヘルメットデザインを一般の子供から公募して、その中からドライバー自身が気に入ったデザインを選び、そのヘルメットを造り彼らの想いを背負ってレースで使用、そしてそのシーズンオフに開催されるTMSF (TOYOTA MOTORSPORTS FESTIVAL)で、そのヘルメットをデザインした本人にプレゼントするという、我々に取って壮大な企画でした。
今は富士スピードウェイにおられる、当時トヨタモータースポーツ推進室室長、今井さんのモータースポーツに対する熱意、子供たちへの夢に対しての熱意に動かされ、我々と伊藤大輔選手を中心に「子供たちに夢を!!」ただその想いで突っ走った企画に、アライヘルメットさん、各ドライバーがお世話になっているペインターさんをはじめ、様々な方々のご協力を頂き実現した企画でした。
今回ご紹介するのは、その企画で僕が選んだデザインの彼からのメールでした。
今井さん、嬉しいですよ!!
大変やったけど、このように我々の気持ちは彼らの心に届いています。
ご本人の許可をいただきましたので、ここでご紹介させてください。
以下、松永少年からのメール
『お久しぶりです。もう、1年以上も寿一さんにお会いにいけてないので
こんな、お久しぶりです、なんていうのも失礼ですが。。。。
メールの件名を見ていただいて、思いだしていただけていたら幸いです。
ヘルメットカラーリングコンテストでお世話になりました、松永真輝です。
あれから、3年近くたって、今年はもう中学3年の受験生です。
11月20日のブログ。拝見させていただきました。
つい、昨日まで、テストだったので見られなかったんです(^^ゞ
寿一さんの伝えたい事、どことなくですけど、感じました。
僕は、あのヘルメットのことがあって以来、「レーシングドライバーを目指す。」そう決心しています。
決して、単にヘルメットがどうのこうのでそうしたとか、生半可には思っていません。
ただ、「スピードを競いたい。アスリートでいたい。」そんな気持ちになっていた自分に「モータースポーツ」という出会いのキッカケがあったからです。
カラーリングコンテストへの応募動機も、「モータースポーツに関われたら。」と思って応募してその時に、寿一さんを知って、「この人のように、でなくともそんな存在に。」と思うようになりました。
そして、第1回の富士スプリントカップで、貴重な経験をさせていただいたことが、僕の揺るぎない「夢」の確立の拍車になりました。
中2になってからは、もうとにかくレーサー目指すなら知識や見て覚えないとと思い、GTやFポンをテレビで観て、研究に明け暮れました。
それと同時に、学校の先生も、両親も、僕が揺るぎない夢をもって、人一倍クルマやレースに対しての想いを持っていると理解してくれました。両親も、特に父親はモータースポーツのファンになりました(笑)
今では「寿一さんどう?大嶋くん速いね。」なんて言ってくるくらいです。
昨年のTGRFには、そんな親の理解があって行くこともできました。
今年は、いよいよ夢の実現に向けて動いています。カートを来年からやろうと思っています。
資金のこともあり、親とは渋々と話すことになっていますが、夢への挑戦は応援してくれるみたいです。
もう15でカートを始めるっていうのも、レーサーのキャリアとしては遅れをとりますが、何かを打ち壊して、新しいことを起こす。そんなことをしたいから、遅れてても関係ないと思っています。
今の僕の夢は、「レーシングドライバーになる。」ことはもとより、「感動や勇気を走りで。」です。
今は、受験に合格して、カートをやる足固めをしたいと思います。
今回の寿一さんのブログで、また、「レーシングドライバーになる。」という思いが、一段と強くなりました。
いつか、寿一さんのもとでレースができるドライバーでいたいです。
長々と、理解しずらい文章になりましたが、ブログのコメントでは伝えきれない、僕の心の中の気持ちです。読んでいただき、ありがとうございました。』
本当に嬉しいメールです。
我々の想い、考え、進む方向は間違ってなかったと思わせてくれるメールです。
そしてまた彼からこんな手紙も
『脇阪寿一さん、スタッフのみなさま
夜遅くに、メールしてしまいまして、申し訳ございません。
ブログに寿一さんが掲載したいとのご要望でしたが是非ともお願いしたいです。
また、そんな恐れ多くも寿一さんに、もう1年以上も会ってないのに
そんなこと言って頂けたこと自体に感激です。
そして、寿一さんに伝えていただきたいことことがあります。
大変申し訳なく、そして、僕としても、苦渋の決断でした。
「カートを始めたい。」そうメールに書かせていただきましたけども
高校進学の面談が、12月上旬にありまして、それで、担任の先生から
「高校進学にあたっては、今のテストの点数では厳しいかと、しかし、
君には、陸上で残した成績が評価され、その推薦をいただいてるから
それを使って、高校受験に臨んだら?」とアドバイス頂きました。
寿一さん、並びにスタッフみなさまにもメールで書いておりませんでしたが、僕は、部活で陸上をやっています。
ですから、その部活での成績が評価されてるため高校の方から推薦をいただいてるようで、それであれば、志望校合格への可能性は大きくなると。
でも、あくまで、こんな成績が残せたのも、あのヘルメットのことがあってですし、あれがあったからレーサーのための体力作りとして、寿一さんのもとでレースしたいから陸上をがんばった結果です。
僕としては、高校でカートができなくなることがとてもショックでした、また、レーサーの夢が遠のくと焦りました。不安のあまり、面談で泣いてしまいました。
ですが、両親からのアドバイス、いろいろ受けまして、陸上でもう高校3年間鍛えたいと思います。
理由は、支えてくれる周りの先生方や友人、また両親の想いもあったからです。
僕の父親ですが(レースに興味を持ってくれた父)ですが、もともと陸上選手でした、高校までですが。ですから、僕が陸上やることに対しては、熱心にサポートしてくれましたし、喜んでいるように思いました。
ですから、「高校ではカートをやって、寿一さんのように。」そう僕が言うと「陸上だったら、成績は残せているし、まだ日本トップクラスを目指すとか、そういうことはわかるけど、カートをやることとかは、まったく無知な世界へ行く事だから、その分リスクもあるし、成績もまったくないから何が起こるかわからない。」と。どことなくですが、父親の寂しさを感じました。だから、せめて父親にもう一度青春時代の陸上をみせてあげたいと。
そして、友人です。僕がカートをやるということは言っていたものの、どことなく陸上からいなくなってしまうことに寂しさをもっているようでした。そして、その友人は「いつか真輝を抜いてやる。」そういう想いもあって練習していました。
ですから、僕としては、そういう友人を捨てて、カートやって、プロに上がったとしても、大事な応援してくれる人を失ってることに違いはないですし、自分が「夢を与えるレーサーになりたい。」そう目標と言ってるのに、そんな人が他人のある種の「夢」を壊しても良いのかと思いました。
最後の支えてくれた、周りの先生方ですが。
僕の陸上での目標は全国大会出場でした。それは、去年に「全国いけるぞ。」と先生方に言っていただいたからでもあり「恩返し」として出たいという思いがあったからです。ですが、その目標は達成できず、期待を裏切ってしまったといってもいいかもしれません。
ですが、そんな、僕にでも先生方は「まだ、この種目なら全国目指せる。」「まだ成長してるから何があるかわからない。お前のやりたいようにやれ。」と後押ししてくれます。
ですから、高校で陸上やることで、少しでも恩返しをしていけることがしたいという思いです。
理解しがたい文章で、理由を書かせていただきましたが、僕が決断した理由です。
ホントに、寿一さんには申し訳なく思います。
ですが、今僕が、あのヘルメットの文字のように、人に何かを与えれるのは陸上でありそのような想いの背負って競技することができる。ということが、レーサーになるための僕の課題と今は捉えています。
ですが、よくよく考えたら、寿一さんのレーサーになる道筋と共通する点もありますから、そう考えると、とてもうれしいですし、モチベーションも高くなります。
でも、それでも、レーサーとして、寿一さんのもとでレースする夢は持ち続けますししっかりと鍛えて、レーサーになりたいと思います。
毎回長文になってしまいホントに申し訳ありません。またまだ、僕の伝えたいことがたくさんありますが余談になるので、省略します。
また、何か寿一さんよりメッセージがありましたら、ご連絡していただければお応えします。
ご多忙の中、スタッフ様、連絡していただきありがとうございました。』
スーパーGTに目を輝かせて来てくれる大勢の子供たち、我々は彼らに夢を与えたいと願っています。
ですが、それによって彼ら全てをレーシングドライバーにしたいと思っているわけではありません。
僕らレーシングドライバーやレースに関わる方々を成長させてくれた、レースというもの、車というもの、それをキーワードに、彼らの将来の可能性を少しでも広げてあげられる事が出来れば嬉しいのです。
今回、松永君からの手紙を紹介させてもらいたいと思ったのは、僕としてものすごく嬉しく、それを皆で共有したいと思ったからです。
僕らの想いを感じ、進みたい道を見つけようとする子供たち、当たり前に自分の環境や立場、色々なものがあって、真剣に悩み、考え、進む道を家族や周りの仲間達と相談し造り上げていく彼らの未来。
素晴らしいではありませんか。
そのような事に我々が少しでも手助けを出来たり、影響を与えたりできている事は素晴らしい事であり、ほんとうに嬉しい事。
彼のように、申し訳ないって思っている子供たちも居るでしょうから、これを読んで我々の想いを誤解せず、彼らの頭の中で電球がパッと照る様なひらめきがあればいいですね。
少年よ大志を抱け!!
僕もやる気とパワーもらいました。
ありがとう!!
コメント ( 11 )
松永くんには是非諦めて欲しくないものです!!
松永くんがこのコメントを見ているのなら幸いですが、
夢へのチャンスというのは意外なところで、しかもあまり周りの状況が良くない時に限って転がり込んでくるものです笑
なのでそのチャンスを見逃さないように、周りの意見に流されないように、しっかりと自分を貫いて下さいね??
投稿者: Mr.UK | 2013年01月15日 20:24
日時: 2013年01月15日
僕も今、中3の受験生で、カートをやっています。
しかし、私立高校になると金銭面的なところからカート活動が困難になってしまうため、公立高校に入らなければなりません。
最近、模試の点数が下がってきたりなど、若干不安でした。
ですが、この記事を読ませていただいて、『僕と同じ中3のモータースポーツ好きが頑張ってるんだ!』と思い、"絶対負けない""俺も頑張ろう!!"と思いました。
それと、僕らの世代でモータースポーツに興味がある人は少ないので、同世代で"モータースポーツファン"がいて、嬉しくなりました。
投稿者: 晃一 | 2013年01月15日 20:31
日時: 2013年01月15日
松永少年、まだ中学3年生なのに自分の目標もシッカリ持ちつつ、周りにも気配りを忘れない。
素晴らしいですね。
彼の様に『気配り・目配り』の出来る人は、どの分野でも結果を残せるのではないでしょうか。
はるか年上の私ですが、彼を見習わなければいけません。
すごく刺激を受けました
素敵なメールを読ませていただき、ありがとうございます!!
投稿者: 四十路のおばちゃま | 2013年01月15日 20:52
日時: 2013年01月15日
続きは何でしたでしょうか、お金の為でなく、空虚な地位や名誉の為でなく、その志の為だけに大志を抱けでしたでしょうか?既に彼から大きな気持ちを頂きました。
ボクも人生頑張ります。いつかサーキットでお会いしたいですね。今は決めたその道を悔いのなく過ごすべく時期なのだと思いますよ。大丈夫、あなたの人生はまだまだ入口です。
投稿者: mikioGT | 2013年01月15日 20:54
日時: 2013年01月15日
夢に遅いも早いもない!!私も元気をもらいました!!!!!!
レーサー目指している人がいるのも嬉しいですが、脇阪さんたちの伝えたいことがこんな風にだれかに夢や希望や元気を与えてることが何より嬉しいです!!
私も頑張らないとなーってほんまに思いました
まさに全ての努力は夢に通ずですな
ほんまに頑張ろ今から頑張ろ!!
投稿者: べり子 | 2013年01月15日 21:01
日時: 2013年01月15日
投稿者: 未来のエンジニア | 2013年01月15日 21:13
日時: 2013年01月15日
とても素敵なお話で また感動してしまいました。
15歳で とてもしっかりした少年で驚きました。
「夢にスタートする年齢は関係ない」というような文章が
ありましたが、本当にその通り!そういう考えをする人好きです。
そして、選んだ道がどんな道であろうと、自分の本当にやりたい事、好きな事をする人生は一番の幸せですよね^^
15歳。まだまだ何でも出来ます!応援してますねo(^^)o
松永少年からパワーをもらったので、必ず私も夢を叶えよう!
と改めて強く思いました。
そして何より、松永少年からのメールを このように大切に温かく受けとめ、皆で共有しようと考えられた脇阪選手こそ やはり本当に素敵な方だと思います。
何かを極められた方は考え方も素晴らしいのですね。
子供達が憧れ目標とするの分かります。
長くなり申し訳ありません。。
素敵なお話ありがとうございました*^^*
投稿者: ココナッツ | 2013年01月15日 22:10
日時: 2013年01月15日
あきらめたらそこで終わり。
若いんだからまだまだチャンスはあるはず。
陸上やってて体力はあるでしょうし、人一倍努力家みたいだし、なんといっても情熱がある!
体型もレーサー向きだから大丈夫!?
おじさんはもう少し減量が必要かな〜(;^_^A
投稿者: ウーロンハイ | 2013年01月15日 23:50
日時: 2013年01月15日
自分が中3の時なんて遊ぶことしか考えていませんでした^^;
松永君に頭をぶんなぐられたような気がします。
若い人達が夢を未来を悲観しないような社会を作るためにおじさん達頑張らなければ!
松永君ありがとう。
投稿者: ピコマロ | 2013年01月16日 10:11
日時: 2013年01月16日
歳は関係なく、やりたい事をやっていきたいなと改めて思います。
投稿者: こじこじ | 2013年01月17日 12:14
日時: 2013年01月17日
松永君へ
レーサーになる方法は他にもあると思います。
寿一さんのようにカートから始められてスクールに入学された方もいらっしゃれば、織戸選手や谷口選手のように自分の車をサーキットで走らせていた方々もいますし、さらに年配の方で、普段仕事をされながらレースに参戦されているドライバーの方もおられます。
方法はひとつじゃないんです。だからいろんな角度から夢に向かってアプローチしてほしいと思います。
陸上部で鍛えられた根性と感覚は、同じ速さを競うレースにも何か役立つところがあるかもしれません。
レース界は実力社会。決して生易しくはありません。でも絶対に無理な世界でもないと思います。
松永君が駆るマシンをサーキットやレース中継で見られる時を楽しみに待っています。思いっきりがんばってください!
投稿者: 350Z | 2013年01月20日 03:26
日時: 2013年01月20日