JUICHI WAKISAKA

レーシングドライバー 脇阪寿一 OFFICIAL BLOG

2012.11.20

「どうすれば脇阪さんの様なレーシングドライバーになれますか!?」

僕の所にたくさん来る、少年達からの質問です。

そうです、心当たりのある君達、君たちからのお手紙、メールです。

俳優、佐藤隆太さんのように

「夢にときめけ!明日にきらめけ!!」

ってカッコ良い事言いたいですが・・・

これは非常に難しい質問。


モータースポーツは色々お金がかかるからとか、特殊だからとか言われますが、そういう意味で難しいのではなく、相手が見えないから安易にその質問に答える事ができない難しさがあったのです。

その返事をするには、シーズン中で考える時間も無く、気持ち的な余裕も無く、手紙は机に、メールはメールボックスにフラッグを着けて保管していました。

JAF GPも終わりましたし、少し考えましょうね。



相手が見えないから難しい。

それはそうでしょ!?

顔を会わせばある程度見える部分もあります。

それでも見えない部分もたくさんあります。

手紙だけだとね。

君たちの状況が解らないから答えづらいわけ。

例えば

「僕はお金も親の協力もありません。」

って、彼がそれに対してどれだけ努力して、反対しているご両親の気持ちを動かせるだけの事をできている彼なのか?気持ちでは思っていて何の努力もできていない彼なのか?

それによって自ずとアドバイスする答えは変わるでしょ!?

また、ご両親が協力してもらえない理由も知らないまま助言するのはね。

叶える事が大変なレーシングドライバーになるという夢、何の夢においてもそうやけど、難しい事に向けて努力する事は良い事だと思いますよ。

レースにおいて、お金、環境、知識・・・

色々な問題があるでしょう。

でも、それをひとつひとつ解決するためにする努力、行動、それらによって養われる経験、またその人が持つ人を引きつける人間力、それらを培うには良い夢、目標だと僕は思いますね。

それで世界一のドライバーになってもらえたら最高やし、もし途中で夢を諦め違う仕事に就いたとしても、その経験は絶対に役に立つと信じています。

僕はレースしかできない、レースしか知らないレーシングドライバーを作りたいとは思いません。

ですから、簡単に質問に答えるのは難しいのです。

「カートに乗って腕を磨く。」

簡単に言ってしまえば、これがベストであり、全てなんですけどね。



経験談を少し話しますから、自分の環境と照らし合わせて自分で考えるのも手だと思います。

まず、「どうすれば脇阪さんの様なレーシングドライバーになれますか!?」

僕の正直な気持ちは・・・

脇阪寿一の様にはならないでください。(笑

キャラがかぶります!!(笑

冗談はさておき・・・

僕を目指すのではなく、もっともっと上を目指してください。

「目標、志は高く持て!!」

です。

素晴らしいドライバーを作るのに、目標は高くなくては困ります。

それに脇阪寿一、言いたいこと言いますから大変な事も多く、割が合いませんよ。(涙


僕はどうやってレーシングドライバーになったかを答える必要がありますね。

ざっくりですが、

何事においても負ける事が大嫌いだった事と、僕と巡り会ってくださった方々が僕を今の僕に導いたのだと考えています。

僕の負けず嫌いは生半可なものではありませんでした。

何事においてでもです。

子供の頃から、全てに勝ったわけではありません。

負けたらその負けた原因、どうすれば勝てるか?うまくなれるかを日々考えていましたし、陰で努力、練習してましたね。

こそ練ね。

急にうまくなったら相手もそれにビビって相手の実力が出にくいでしょ。

それもうまく使って勝てる確立を上げるの。

だから、自分の実力を上げるのと、相手をどうさせるか、2つ同時に考えるの。

レースをはじめてからも、初めて乗った割には速いね。上達速いね。

何でも乗りこなすね。そう思わせることができればその先に、こいつはこの先とんでもないやつになる!

そう思わせてステップアップしてきてん。

後は幼少期、子育てという観点で厳しく何をしてもあまり認めてくれなかった父親、その父親に気持ちの中で勝負を挑み、車が大好きな親父に認めてもらいたいという気持ちが強かったかもしれません。

それで車を競う道具に選んだのかもしれません。

僕の場合、本当に人の巡り合わせにめぐまれました。

自分で言うのもなんですが、たまたまなのか?何か魅力があったのか?

巡り会った方々が全て仏様の心をお持ちだったのか?

僕の場合は19歳でレースを始めて・・・特殊ですね。

綱渡り的な道を歩んだのか?恵まれた太い道を歩ませてもらったのか?

自分の事ですから余計に解りません。



許可は取ってませんけど・・・

例えば伊藤大輔選手。

彼は苦労人です。

子供頃にレースを見に行った鈴鹿サーキット。

そこで衝撃を受けた彼はバイトしてその全てをカートにつぎ込んでレースを始めました。

そのバイト代で足りるわけも無く、色々な所に借金してレース活動。

鈴鹿のレーシングスクールが開校になる年、また借金して入学金を集めて入学。

そのスクールにはスカラシップ制度がありそれを目指したのです。

その一年、彼の実力は十分ありましたが大人の事情で・・・。

それでも彼は腐らず上を目指したのです。

その頃、彼はスキルスピードというチーム、鮮明に覚えています。

それからのレース人生も苦労の連続で・・・

でも、彼はホンダで台頭し、ご存知の通り2007年にはNSXでスーパーGTタイトルを獲得し、今やトヨタの看板選手です。

何で彼は色々な所から借金ができたのでしょうか?

色々な苦労をして、つぶれそうになっても、つぶれず今に至るのでしょうか?

それは彼を助けたい、支えたいという人達が彼の周りにたくさん居たのだと想像します。

また、それはたまたまでしょうか!?

僕は違うと思います。

レーシングドライバー伊藤大輔として我々が彼を認める前に、彼を助けた方々が、一人の人間として伊藤大輔を認めたという事だと思います。




ほな、違う路線で谷口信輝選手

スーパーGT300クラスのスター選手です。

ドリフトも世界レベル、何の車を乗せても乗りこなし、車が大好きな彼。

くそ生意気な広島の青年が、土屋圭市さんのドリフトイベントに俺の方が上手いやろ!!って現れたらしいです。

それは彼らの目に止まりますわな。

そこからドリフトの腕をさらに磨き、ドリフトで培ったコントロール技術を武器に4輪界に殴り込み、今に至るわけです。

峠から、ドリフトから、日本のレース界のトップに駆け上がった珍しい例ですね。

彼には土屋圭市さんや織戸学選手といった良い兄貴がいたと思います。

でも、その彼らの気持ちを動かしたのは、彼の努力と気持ち、キャラ、そして何より彼のドライビング技術だったと思います。

そのドライビング技術は僕が分析するに、ドリフトからは想像できませんが、勢いではなく頭脳からくるものです。

頭の中で考え、努力し、勝つ方法を見いだすタイプ。

今、何をすべきか?それを瞬時に判断する頭脳を持っている選手です。

だから、その考え方を持ってすると何してもうまい。

ゴルフもそうやしね。

彼の考え方が彼のブログ「JAL」に表現されてるよ。

面白いよ。彼の考え方が一目瞭然。

ご覧あれ。

カート上がりでないと通用しないとされている今のレース界。

彼は異色の存在ですね。

“初心忘るべからず”

彼は今でも車を自分で改造して、車を楽しみ、その楽しさを多くの方々に彼なりのスタンスで伝えています。





後は・・・

本山選手、道上選手、高木虎之介選手・・・・

このあたりはレース界のサラブレッドですね。

本山選手は幼少期からカート界で“神童”と呼ばれ、いわゆる天才。

カートをプロとしてお金をもらって乗っていましたからね。

道上選手はお父さんが元レーサーでありカートショップのオーナー。

関西の道上と言えば知らない人は居ない。

僕がレースをするきっかけは道上選手の存在です。

関西が道上なら、中部は高木虎之介。

静岡県つま恋で開催された全日本カート選手権、僕の目の前で繰り広げられた2人の直接争いは忘れられません。

毎周の様にトップを入れかえる2人。

アクセルの踏み過ぎでエンジンが持たずに2人ともリタイア。

そこまで踏めばエンジンがもたない事も解っていたでしょうが、負けず嫌いから来る2人の意地の張り合い。

それは壮絶でした。

雑誌には“龍虎の戦い”と見出しを飾りました。


言いたいことは、彼らの周りにはいつも大勢の人達が居ました。

彼らは人々を引きつける何かを持っていたのでしょう。




僕からのアドバイス、それは僕が紹介したこれらの事を頭にいれ、自分は今何をすべきかを考えて行動して欲しい。

どんな事であっても、人に魅力を感じてもらえる様な人間になってもらいたい。



夢に向かって突き進む!

素晴らしい事です。

でも難しい事です。

今しかできない事です。

精一杯やれば良い。

でも、その夢に向かって偏るやり方ではなく、頭を使ったアプローチをする事も大切であるし、それがご両親や、心配してくださる周りの方々への、敬意であるかもしれませんね。

今、自分が存在する事。

それは自分の力だけではありません。

それもよーく理解して頑張っていこう!!

君たちもこれから色々な人に巡り会っていくでしょう。

その中に僕も居たら、それはそれで僕も嬉しいかな。



さぁ、夢に向かってはりきっていこう!!



歳をとると色々な事情、しがらみでできない事がたくさん出てくるから、今のうちに後悔しないように、頑張って。


陰ながら応援しています。























コメント ( 15 )

稲垣 知博 :
はじめてコメントさせていただきます。
僕は今高1で今年KTで走りはじめてまだまだ遅いですがプロ目指して練習してます。
僕の家はカートがギリギリできるぐらいしかなくてバイトもしてやってます。
だから今のままじゃKTで結果残してもそのあとがステップアップするおかねは確実にないです。
ただ、寿一さんの言うように回りが引き付けられるなにかをもって多くの人にサポートしたいと思われるように今できることを精一杯やろうとおもいました。
凄い勇気もらいました。
ありがとうございます!!
ヒデウミ :
先日メールさせていただいた神奈川県高校二年の者です。
大学に進学して、人との出会いを大切にしながら強い覚悟と自信を胸に夢を叶えるために頑張りたいと思います。
脇阪さんの言葉、胸に刻み込んで一歩一歩進んでいきます。
目指すからには、いつか脇阪選手をオーバーテイクできるように頑張ります!
感動しました。いまから一年半後、夢のスタートラインに立ちます。
遅いかもしれません。でも、自分の可能性に賭けてみたいと思います。
ありがとうございました。
Hideumi Owaki :
先日メールさせていただいた高校2年生の者です。

今の自分にできることは、人との出会いを大切にすること、それしかないと思います。勉強して、大学に進学して、そこからスポンサー集めなどなどを頑張ってカートという夢への一歩を歩み出したいと思います。遅すぎるかもしれません、大学生からでは・・・。それでも考えれば考えるほど諦めたくなくなったので、精一杯やってみたいです。

いつかは脇阪選手をオーバーテイクしてやるぐらいの勢いで行きます!

ありがとうございました。
ウーロンハイ :
まず出来る事は、自分で夢を叶えるために努力すること。
それしかないですよね。
たとえそれが叶えられなくても。。。

なんてえらそうなこと言って、そういう僕は努力しないほうだし
投げやりなところもあるし(笑)実際に夢を叶えたわけではないので
今回の寿一さんのブログには考えさせられるものがありました。

僕も大きな夢とはいきませんが(^^ゞ
自分なり人生の目標をもって生きていけたらと思います。
へっぽこ茶わん :
自分も社会人になってから、ナンバー付きワンメイクレースに参戦しましたが・・・。

軍資金の無さや、寿一さんのデビュー当時と比べても草レースも盛んなのに・・・。

そこで経験値を上げてないはきちんと人間関係構築出来てないはで、いきなりJAF戦に出てボコボコ(T . T)

でもここでお金の重要性、人間関係と自分に対して身体的性格的に如何に厳しく出来るかが。

必然的に痛感しました(T . T)

確かにカートから行けばいいけど、変な話・・・。

あの時F1で走ってた同世代の奴に喧嘩売るのは、別にF1でもなくても。

とにかく必死に走り続けて勝ち続けたら。

いつかはル・マンとかニュルとかで、そいつに喧嘩売れる日が来ると信じて。

遮二無二に(でもレース以外の事も真面目にする事)走る以外無いと。

ウ○コ級駄目野郎の実体験から言える、最大限のアドバイスです(T . T)











10 :
正直、どの業界もスタートラインは一緒ではない。

恵まれた環境に産まれれば早いスタートがきれて

十分な教育が受けられる。

スタートが遅れた者は必死に追い上げるしかない。

でも、遅いスタートの選手でも

大活躍している選手がいる。

この希望を忘れずに頑張ろう!
南河内寿一会 :
どんな状況でも高い目標を持っておくことが大事ですよね。
僕も、GTレースに参戦する目標に向かって、日々精進しないといけないと感じました。
19歳という自分の年齢を考えると厳しいのは分かっていますが、少しでも近づけるように努力していこうと思います。

べり子 :

感動!!脇阪さんの記事見て、皆様のコメント見て、感動、感動!!

口先ばっかりの私の胸に強く響きました…
夢だけはでかいんですよねー
有限無実行常習犯ですよ私

でも、ブログのおかげでがぜんやる気が出てきましたよ!!

頑張ってちっさい夢もでっかい夢も叶えます
そのために今よりもっともっと努力します!!

ほんで、最終的に、結婚します
レーシングドライバーと

キャー

実行実行
泣き虫おやじ :
おはようございます寿一さん☆☆☆

オイラも夢が有ったべf(^_^;

だからツラい事も我慢できたし色々な経験が出来たべ(T^T)

夢は実現しなかったけど、その時の頑張りは今に繋がってると思います。

夢を叶えるため思い切り頑張って下さい。
絶対に後悔しないから!!

また、カートに乗りたくなってきたべや♪

SAVE JAPAN がんばっぺ☆☆☆
WH20kg :
弱っちい話ですがお許しください.

小生,”継ぐ”ということに翻弄された人生でした.
親からは”○○にならなかったら,何になるだ!”
”私らはあんたらのためにやってやってるんだ!”
と小さい頃から言われ,はては”好きなことは
仕事にしない方がいい”とまで言われ選択の
余地はありませんでした.それから飛び出す
勇気がおまえになかったじゃないか!と
言われればそれまでですし,結局選んでるじゃ
ないか!と言われればそれまでです.でも
育てていただいた両親です.心の奥底で感謝して
いるから○○になったのだと思っています.結局
自分の意志で他の人生の可能性を閉ざしてしまい
アラフォーに突入してしまいました.

自分の子供たちにはよく話をして子供の望む道を
目指すための,いい意味での手助けをできれば
いいなと考えています.周囲を見ますと進学・
就職にしても”そんな学部(大学)いっても就職が
ないからだめ!”とか”ウチは代々××だから
××にならなけば出て行け!”あるいは”△△は
ステータスがあるから△△になれ!”みたいな
ことをよく耳にします.何かこういうのは可能性を
つぶしているようで悲しくなります.日本の将来に
不安をおぼえずにはいられません.

レーシングドライバーを目指しているみなさん!
是非挑戦を続けてほしいと思います.気持ちしか
協力できませんが応援しています.その他の
分野の方々も含め,大志を抱いてたゆいまない
努力を続けている方々に敬意を表したいと
思います.

がんばってください!
ゆうたろう :
寿一さん、素晴らしい。

ファンの言葉に答える、そーゆうところが好きです。


僕も寿一さんに憧れていた…

しかし、自分には色々な意味で断念…

今は未来の息子に託しています。
ヒトシ :
寿一さんや皆さんのコメントじっくり読みました。
今日は身が引き締まる思いです。
夢が夢で終わる可能性もありますが、努力しない
ことには、結果はどうなるかわかりません。
また、無駄な努力って、人生にはないと思います。
しげき :
最近、仕事上の事で色々悩んでまして...

寿一さんや皆さんのコメント、他のレーサーの方々の話。
色んな人の意見を見れて、解決のヒントを得られた気がします。
このブログを知っていて良かったです。
(今回のテーマとは違う方向にいってしまい、すみません)

美咲 :
何だか、心に響く内容だったので、コメントしました。


職種は違いますが、私も苦労した部類です。

高校の時に親がリストラになり、一気にお先真っ暗に。
専門へ行きたいと言えば「お金ないから、働いて行ってくれ」と言われ、
子ども心に悔しい気持ちになりました。

だから、定時制で働きながら専門へ行き、看護師免許取得、さらに、働きながら大学にも行きました。

やりたいと思ったら頑張れます。

これからも何事も諦めず乗り越えていきたいです。
#39 :
初めまして。

自分は来年から大学生になりますが悩んでいます。
幼い頃から車が好きで五年前にカートを始めました。

やっとの思いで親を説得し、援助はなしでヤマハTIAの98年モデルを2万円で買い始めてカートを走らせる時にカート場の周りの人達に陰で、まだあんなボロ走ってるなどいろんなことを言われた経験があります。ですが一台だけですがその言っていた人を抜くことができ見返せました。

それ以来自分はもっとうまくなってプロになりたい思いました。ですが自分のバイト代や小遣いでは限界があるため人並みには走れていません。

環境のせいにする気はありませんがこんなことを言うこと自体が環境のせいにしているかもしれません。

人並みに走れていないのにカートをやめてジムカーナなどで走っていいのか?それともカートを本格的にやった方がいいのか自分にはわかりません。ですが夢は諦めたくありません。寿一さんみたいにはなれませんができるだけ近づきたいと思います。自分も同じ39というゼッケンですw

ずっと頑張ってみたいと思います。
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