2007/3/18
オフシーズンは、マレーシア・セパンサーキットを含め、多くのテストを精力的にこなしてきた脇阪。SC430で迎えるシーズン2年目は、同時にディフェンディングチャンピオンとして、新たに連覇を狙うシーズンでもある。今シーズンは、ダウンフォース軽減を目的に車輌規則が改定され、ニューマシンにはステップドボトムの採用が義務付けられた。これによって、マシンバランスの確保のために07モデルのSC430は前後のオーバーハングが伸びている。ニューマシンに対して脇阪は、「オーバーハングが伸びたぶん、クルマの挙動に対し、まだナーバスな状態です。ただ、結果的にはダウンフォース自体は増えているので、うまくバランスが取れるようになると速さがもっと出てくると思います」と印象を語った。
■3月16日・金曜日 公式練習
暖冬の天気から一転、レースウィークは寒波が舞い戻り、寒さ厳しいコンディションでの戦いとなった。金曜日の練習走行では、まず午前10時15分から1時間30分に及ぶセッションがスタート。スポンサーカラーによってモノトーンに一新されたマシンに乗り込み、周回を重ねた脇阪。5番手で午前の走行を終了する。午後からのセッションでは、セッティングの合わせ込みなど、様々なメニューを準備していた。だが、アクシデントが起こる。ヘアピンでストップしていたGT300の車輌が突如動き出し、No.1
宝山TOMユS SC430の右リアにヒットしたのだ。エアロパーツ損傷だけでなく、足回りを傷めたマシンはすぐさまピットイン。スタッフが懸命に作業を進めた結果、なんとか終盤僅かな時間だけでもマシンをコースへと送り出すことができたが、予定していたメニューを消化できずに練習走行を終えることになった。
■3月17日・土曜日 予選
前日同様、冷たい風がサーキットに吹き付けた予選日。気温11度、路面16度の中、予選1回目がスタートする。GT500クラス専有走行が始まり、満を持して脇阪がコースイン。アタックを開始し、1分52秒940のタイムをマークする。さらに1周、アタックを行ったが惜しくもタイムアップならず。結果、11位で予選を終了した。
「本来は、金曜日にセットの合わせ込みをするんですが、残念ながらGT300車輌とのアクシデントがあったので、走行時間を失いました。結果的にデータも取れなかったし、セットの良し悪しをはっきりさせることもできなかったので、それが今日のアタックに少なからずとも影響を与えていると思います。時間不足、作業不足が、今日の結果のすべてですね」とタイムアタックを振り返った脇阪。
午後からの予選2回目は、短い時間ながらセッティングの変更を行い、マシンをチェック。
「午前のセッションでは、スーパーラップ進出を狙い、もう1セット新たにニュータイヤを投入し、混走枠でアタックすることもできたと思います。が、バタバタとアタックしてもポジションがわずかに上がる程度だったでしょう。それよりも、タイヤをキープし、決勝レースでの選択枠を増やしたほうがいいと判断しました」。ディフェンディングチャンピオンとしての勇姿を披露したい気持ちを抑え、脇阪は明日のレースを見据えてのプランを淡々とこなすことに集中した。
■3月18日・日曜日 決勝
決勝日を迎えた鈴鹿サーキット。レースウィークで一番の冷え込みとなったが、青空が広がり好天気に恵まれた。午前9時25分からのフリー走行では、新たなセットで出走開始。だが、マシンは思うような動きをしてくれず、タイムも14番手どまりとなる。
「クルマが安定せず、いいところがありませんでした。結局、土曜の午後の予選で試したセットに戻してレースをすることになると思います」と脇阪。タラ・レバではあるが、本来なら金曜、土曜の2日間で終了できているセッティングやチェック内容が、アクシデントの影響で遅れを取っていることは否めない。とにかく決勝では、手堅く、確実なレースをすることが求められることとなった。
午後2時の決勝を目前にして、気温は12度、路面は23度まで上昇。だが、依然として冷たい風が強く吹いている。フォーメーションラップを終えたマシンが52周先のチェッカーを目指し、レーススタート。スタートドライバーはロッテラー選手が担当した。1コーナーへの進入、前方のマシン2台が接触。砂煙が舞い上がった。ロッテラー選手はこの混乱をうまくかわして、7番手にジャンプアップする。さらに、前方のNo.23
XANAVI NISMO Zをハードプッシュ。ピットインまでこの攻防が続いた。
レースに動きが見え始めたのは、ルーティンワークのピットインの前後から。ライバル達とほぼ同じタイミングでピットにロッテラー選手が帰還。24周目から脇阪がドライブを担当した。再びコース上では攻防戦が始まり、脇阪も懸命に応戦。前方車輌に喰らいつく走りを見せた。だが、GT300の車輌が入り乱れ、ますます荒れる戦いを繰り広げていた午後3時14分、No.1
宝山 TOMユS SC430に対し、ドライビングスルーペナルティが提示される。これを受け、脇阪は40周を終えてピットへ。そのままスルーし、コースへと復帰した。終盤に入り、コントロールが次第に難しくなったマシンをなだめるようにドライブ。7位でチェッカーを受け、4ポイントを獲得。2007年の初戦を終えた。
■脇阪寿一 コメント
すべての作業が後手に回り、結果的に満足できる戦いができませんでした。セッティングが決まらない中、アンドレもうまくマシンをコントロールして走ってくれたと思います。ただ、ピットイン直前の周は、GT300のトラフィックがひどく、もう1周早くにピットインできたら、また少し違った展開になった可能性もありました。交代後は、23号車、32号車に喰らいつこうと走っていましたが、ドライビングスルーペナルティを受けることになって…。このペナルティに対しては自分の中で納得できないものがありますが、今回のレースで、今シーズンの悪いところを全部出し切った、とポジティブな考えで気持ちを切り替えたいですね。厳しい展開となりましたが、その中で4ポイントを獲得できたし、トヨタ勢としては優勝することができたことはよかったと思います。次の岡山はSCにとって、決して得意とは言いにくいサーキットですが、今回の無念を晴らせるようなレースにしたいと思います。今シーズンも連覇目指して頑張りますので、引き続き応援くださいますよう、よろしくお願いいたします。